ほぼ週刊のラーメンコラム

ラーメン作り, ラーメンの紹介, 一人暮らし

辛いものが苦手な人がラー油から担々麺を作った

 

まえがき

タイトルにも書いたのですが、辛いものが苦手です。ただ一口に辛いものが苦手といっても唐辛子系の辛みが苦手なだけで、わさび、からし系の辛さは強いどころかとても好き。知り合いにこの逆の人もいるので人間って不思議ですね。

それはさておき、作るラーメンを考えるときにやっぱり辛い系ラーメンというのは頭によぎるのですが、どうしても食べるのがつらいので作る気がずっと起こりませんでした。今回は辛いものが苦手な自分でも食べられるように、辛さよりも香辛料の香り表に出した担々麺を目指して作っていきたいと思います。

担々麺の構成

そもそも担々麺のスープってどういうパーツから作られてるのかというのをご存知ない方も多いかと思います。担々麺のスープは、

  • 醤油だれ
  • 芝麻醤
  • ラー油
  • 動物系、魚介系のスープ

になります。(もちろんお店によって微妙に違うこともありますが基本は以上の4つです。)

芝麻醤(チーマージャン)は聞きなれないですが、簡単に言うとねりごまを油でのばしたものです。イメージとしては、ごま100%のなめらかなごまだれを想像してもらうとなんとなくわかるかと思います。

たれ作り

それでは醤油だれを作ります。

あたりめ、昆布、厚削り節を水にいれてしばらく置きます。

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これを煮立て、こした後、ここに醤油を加えます。

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今回は濃口醤油を使う

軽く煮立てて冷ましたら醤油だれの完成です。このたれを数日休ませると醤油のかどがとれてよりおいしいたれに仕上がります。

芝麻醤作り

それでは芝麻醤を作ります。先述した通り、ねりごまを油でのばしていけば完成です。

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熱した油を加えてよく混ぜる

ラー油作り

それではラー油を作ります。

まずは油の中に八角、シナモンなどのホールスパイスを加えて熱します。ここで、油やスパイスの種類を変えれば風味をカスタマイズできます。

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油を熱している間に一味唐辛子花椒パウダーを用意し、水で湿らせておきます。こうすることで、熱した油を加えた際に唐辛子の焦げを防げるようです。(ここも山椒を加えるなどすればまた違った風味に仕上がります)

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ここに熱した油を放り込みます。

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あとはしばらくして味をなじませたあと、油部分のみを取り出せばラー油の完成です。

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落ち着くとこんな感じ

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完成したラー油

スープ作り

それではスープを作ります。 

鶏ガラ、背ガラを水につけ血抜きをしたあと、圧力鍋で加圧して1時間ほど煮込みます。今回は下茹でを行わなかったので、鍋で煮る前に血の塊や内臓(特に鶏ガラ)をしっかりと取り除くようにしましょう。

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煮込む前

煮込み終わったら、ここにネギの青い部分、にんじんなどの野菜を加え、好みの濃度になるまで煮詰めていきます。

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だんだん煮詰まってきた

最後にスープを漉して完成です。

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これで担々麺のスープに必要なものが揃いました。

製麺

それでは製麺していきます。今回は低加水率の細麺を作ります。

ボウルに強力粉を入れ、かん水、塩、水を合わせたかん水液を加えていきます。(今回は加水率29%になるように調整しました)

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水回ししたあと

水回しが終わったら、ひとかたまりにしてしばらく寝かせます。加水率が低いせいで手でまとめようにもまとまらないので、足で踏み固めます。

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あとで圧延するので多少ぼろぼろでもいい

その後、圧延をしていきます。今回も所有している道具の関係上、小野式製麺機で麺帯を作成、複合圧延し、パスタマシンで薄くしていきます。

切り出しもパスタマシンで行います。

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これで麺の完成です。加水率が低いので打ち粉はふらなくても大丈夫です。

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完成した麺

本調理

それでは本調理です。

まずはトッピングに使用するひき肉を作ります。鍋にひき肉を入れて炒め、そこに醤油だれとオイスターソース、お好みで豆板醤を加えます。私は辛さが苦手なのでほんの気持ちだけ。

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その他のトッピングとして刻みネギ、小松菜も使用するのでそちらも準備をしておきます。

 麺を茹でるお湯を沸かしている間にどんぶりに醤油だれ、芝麻醤、ラー油を入れ、温め直したスープも加えます。

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お湯が沸いたら麺を茹で、トッピングを盛り付け、最後にラー油をひとかけすれば...

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担々麺の完成です!

実食

それでは食べていきます。まずはスープ。

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ラー油の風味がとても好み。そのおかげで辛さよりも香辛料の香りが引き立つとてもおいしいスープに仕上がりました。後味としてほのかに辛みが残る程度なので、まさに辛いものが苦手な自分にぴったりのスープ。ラー油を作る手間はそこまでかからないので、自分の好みを追い求めてラー油作りを続けてみるのもありかもしれません。

次に麺。

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前回の家二郎の製麺がいまいちだった分、今回は非常にうまく仕上がりました。麺自体もうまくできたのですが、それ以上にこの麺とスープの相性がいい具合。

最後に

今回は辛いものが苦手な自分でもおいしくいただける担々麺を目指して作りましたが、麺、スープともに非常にうまく仕上がったと思います。本当は鶏ガラと背ガラだけでなく、牡蠣や牛骨みたいな中華特有の食材も使ってみたかったのですが、費用がかさむので正直これで十分かもしれません。

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

年越し二郎を食べました

年越しそばってそもそも

お久しぶりです。

早速ですが、年末年始、特に大晦日のイベントといったらみなさん何でしょう。大掃除、紅白などいろいろ浮かぶと思いますが、やっぱり真っ先に浮かぶのは年越しそば。昔そば屋さんでアルバイトしていたときは、いつにもまして多くのお客さんが来店していたのを覚えています。

そもそもなんで大晦日にそばを食べるかというと、調べるとめちゃくちゃ説が出てくるので「これ」といえるものはないのですが、

  • そばは切れやすいから1年の災難を断ち切る、という意味
  • 細く長いことから長寿を連想

あたりが有名なようです。

でも私は細く長い人生よりも太く短い人生のほうが好きなので、今回は年越し二郎を作りたいと思います。

二郎とは?

最近ではラーメン好きだけでなく一般の人にも知れ渡った感のあるラーメン二郎。知らない方のために説明すると、豚がガツンと聞いた背脂たっぷり、野菜山盛りの醤油ラーメンです。


ラーメン二郎 全店制覇 完全版Ⅰ「三田本店・目黒・仙川・鶴見・新宿歌舞伎町・品川・新宿小滝橋通り・環七新代田・八王子野猿街道店2・池袋東口」【IKKO'S FILMS】【品川イッコー】


令和最初の二郎はやっぱりここなんです【ラーメン二郎三田本店】

二郎はその量やインパクトだけでなく、コール(ニンニクヤサイマシみたいなやつ)に代表されるように食べるまでにも独特のルールがあるため、知ってはいるけど敬遠しているという方も多いかと思います。とはいっても、知らなくても怒られるわけではないですし、いまはネットでそういうルールは全部調べられます。そうじゃなくても、前の人のやっているのを真似するとか、店主さんの言う通りに従えばだいたいOKなので思っているほどハードルは高くないです。


【大食い】ラーメン二郎のルールを完全攻略!全マシマシを完飲完食しながら解説!【ラーメン二郎目黒店】飯テロ ramen

また、直系のお店だけではなく、「インスパイア系」と呼ばれる二郎を模したラーメン屋も多く存在します。

dainagon1314.hatenablog.com

乳化?非乳化?

じゃあ二郎を再現して作ろうといっても、実はお店によってだいぶ趣が異なります。その中でも代表的な違いとしては、スープの「乳化」度合いが挙げられます。

「乳化」とはなんぞやというと、水と油のような本来混ざりあわないもの同士が混ざりあう現象のことを言います。水と油が混ざりあうと粘り気のある液体に変化し、例えばマヨネーズや、バターなんかを使って作られるフランス料理のソースなんかも乳化を利用して作られます。(ペペロンチーノもオリーブオイルに茹で汁を加えて乳化させています。)

では二郎でいう「乳化」度合いの違いはどういうことかというと、スープと油が混ざってとんこつラーメンのようにドロドロになっているか、それとも混ざらずに醤油ラーメンの上に液体油の膜が浮いてるか、ということになります。(前者が「乳化」二郎、後者が「非乳化」二郎です)


【上総村上駅 ラーメン】ちばから 千葉一の有名店でド乳化!超濃厚二郎系をすする!【Jiro Ramen】SUSURU TV.第251回

例えばこちらのお店、「ちばから」は直系ではなくインスパイア系ですが、超どろどろのど乳化スープのお店です。


アカボシ的第2位の二郎がこちら【ラーメン二郎上野毛店】

一方こちらのお店は二郎上野毛店です。私も何回か訪問させてもらいましたが、映像をみてもわかるように、醤油ラーメンの上にめちゃくちゃ分厚い液体油の層が浮いています。(どのお店が乳化タイプ、非乳化タイプなのかは調べればすぐ出てきます。)

個人的には乳化二郎がめちゃくちゃ好きなので、今回作る年越し二郎はスープを乳化させたいと思います。

たれ、スープ、豚作り

前置きが長くなってしまいましたが、それでは作っていきましょう。今回はたれ、スープ、チャーシュー(二郎では通称「豚」)の制作工程が互いに絡まり合っているので、いつもとは違って、作業の時系列を追いながら書いていきたいと思います。

まずはかえし(醤油だれ)を作ります。二郎系はスープのインパクトが強いのでかえし自体は非常にシンプルで、醤油にみりん風調味料、大量の味の素を加えて煮立てれば完成です。

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病気になるくらい味の素を入れる

今回はスープ用だけではなく、味付きアブラを作るためにも使用するので気持ち多めに用意しておきましょう。

次にスープを作っていきます。ゲンコツ、背ガラを水につけ、血抜きをしていきます。冷凍保存してあるので流水で解凍するのも兼ねています。

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血抜きが終わったら熱湯に入れ下ゆでをしていきます。まあだいたい5〜10分くらい茹でれば大丈夫かと思います。(くさみが気になる方はもっと下ゆでして大丈夫です。そんじょそこらの時間じゃうまみは出ません)

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下ゆでが終わったあとは骨を軽く水洗いし、血のかたまりを取り除きます。その後ゲンコツだけ圧力鍋に入れ、1時間煮ていきます。(所有してる圧力鍋のサイズの問題もあるのですが、背ガラに比べてゲンコツはスープが出にくいので同時に煮込み始めると時間差が生じてしまうためです。)

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煮込む前

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煮込んだ後

そしたらこのスープを寸胴に移していきます。久々の登場です。

そこに背ガラと大量の背脂、にんにくを1房加えて煮込んでいきます。

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先ほどの圧力鍋が空になったので、これと並行して今度は豚を煮込んでいきます。今回はすでに縛られたものを購入しましたが、そうじゃないブロック肉を使う場合には自分で縛りましょう。

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煮込む前

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煮込んだ後

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いい感じに煮込めた

20分ほど圧力をかけて煮込んだら豚はかえしにつけ、茹で汁はネギの頭、しょうがスライスごと寸胴に加えてさらに煮込んでいきます。豚をつけた醤油だれはラーメンのかえしとしても使用するので、完成したあともとっておいてください。

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豚はかえしで漬け込む

ここでスープを乳化させます。簡単に言うと、スープをぼっこぼっこあわ立てて煮込めば乳化し、表面がうっすら沸いている状態をキープすれば非乳化スープになります。

なので今回はぼっこぼっこ煮ていきます。

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煮詰まってきてる

適度な頃合いでやわらかくなった背脂を細かくしていき、一部を取り出してかえしに漬け込むことで味付きアブラを作ります。

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おいしそう

あとは好みの濃度になるまでひたすら煮詰めていき、完成です。

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とてもいいどろどろ具合

これで醤油だれ、スープ、豚すべて用意できました。

製麺

次に麺を作ります。今回の麺はなかなか手こずりそうで怖い...。

小麦粉はオーション、加水率は30%と低加水率なので水を加えても一見まとまらなさそうなパラパラになります。

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もう雪

実際これは手でいくらこねてもまとまらないので足の力でとりあえずひとかたまりにしたあと、製麺機で圧延していきます。(加水率が低いと生地がバッキバキになるのでふつうのパスタマシンだと壊れます。)

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小野式製麺機で圧延していく

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もっときれいな麺帯にしたかったけどこれが限界

そしたら麺を切っていきます。

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本来ならここで終わりですが、今回はここから一工夫していきます。

麺をパスタマシンで薄くしていきます。

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切り出す前に生地を薄くするほうが楽なのですが、この加水率だとさすがにパスタマシンが壊れると思ったので今回は応急処置的にこの方法で作業しました。

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のばした麺

そしたらこの麺に力をくわえて揉み、縮れさせていきます。

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ちぢれた麺

めちゃくちゃ二郎っぽい麺ができました。ただ加水率の低さで圧延がうまくいかず、けっこう切れやすくなってるので茹でたあとにちゃんと麺になってくれるかが不安です。

本調理

それでは本調理です。

まずは漬け込んだ豚をカットしてみます。

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完璧な豚ができました。

さらに味付きアブラはこんな感じになりました。

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めっちゃ漬かってる

そしたら野菜を茹で、ざるにあけたあと麺を茹でていきます。

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野菜を茹でる

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麺を茹でる

あとはどんぶりにかえし、味の素、スープを注ぎ、そこに麺をくわえていきます。

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そして各種トッピングをしていけば、、、

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年越し二郎の完成です!!

実食

それでは実際に食べてみましょう。まずは豚から。

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しっかりと食感はあるものの、筋っぽくなくとてもいい豚ができた。

野菜と味付きアブラも一緒に食べていきます。

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お店で二郎を食べるときもかならずアブラトッピングをしてこの食べ方をしているのですが、やっぱりおいしいですね。正直これだけでもいいです。

次に麺。

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やっぱり茹でたら切れちゃいましたね。これは今後の課題です。切れやすいという意味では前書きに書いた縁起的にはいいのかもしれないですが、もっとうまく製麺できるように精進します。でも見た目だけは完璧すぎる。ビジュアルの暴力。

最後にスープ。

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みてもらえばわかると思いますがまだまだ乳化が足らないですね。それとも最後にスープを漉すときに背脂を潰してしまったので、そこで液体アブラができちゃったんでしょうか。濃度的にはしっかりとこってりしています。

最後に

今回は二郎系ラーメンを作りました。麺に大きな課題は残りますがそれ以外は概ねいい感じにできたんじゃないかと思います。

正直二郎系ラーメンはかえしもスープもレシピがとてもシンプルな分、作ってる側としてはなんか物足らない気分になってしまうのですが、たまにはこういう繊細の対極にあるラーメンもいいかなって思います。

今回も読んでくださりありがとうございました。今年も1年ラーメンを作り続けていきたいと思っていますので応援よろしくお願いします。 

おしゃれ極めた塩ラーメンを作りたい(後編)

この記事はおしゃれ極めた塩ラーメンを作りたい(前編)の続きになります。こちらを先にご覧になるとより楽しめるかと思います。

 

ramencolumn.hatenablog.jp

 

チャーシュー作り

前編ではたれ、スープ、ほたて油を作りました。今回はチャーシューから作っていきたいと思います。やっぱりおしゃれ極めているので、みなさんの期待にお応えして低温調理チャーシューを作ります。

低温調理チャーシューは一般的な煮豚に比べて噛みごたえがあるので、それを生かすために今回は肉質がしっかりした豚肩ロースのブロックを使います。

豚肩ロース肉を漬けるためのソミュール液を用意します。水に塩、砂糖、ローズマリーレモングラスを加えて煮ていきます。塩分濃度の目安としては5%くらいだと塩抜きしなくても薄すぎずしょっぱすぎずの塩梅でチャーシューが作れるかと思いますが、ここらへんは今後も探っていきます。

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ソミュール液

これをジップロックにうつし、糸で結んだブロック肉を入れ、低温調理器で60度、1時間で加熱していきます。

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ゆっくり冷まし肉汁を落ち着かせたあと、燻製していきます。

鍋の底にアルミホイルを敷き、その上にチップを敷きます。そこに網をのっけて先ほどのチャーシューをのっけます。

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この上にチャーシューをのっける

あとは火をつけ、煙が出てきたらふたをして香りをつけていきます。

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これでおしゃれチャーシューの完成です。

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完成したチャーシューの断面図

製麺

それでは麺を作ります。麺は非常にシンプルで、加水率38%の細麺です。

以前つけ麺を作った際に、セモリナ粉をいれることでもちもち感がプラスされてかなりうまくいったので、今回もセモリナ粉を少し配合します。

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黄色いのがセモリナ粉

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しっかりと水回し

そしてひとまとめにした生地を圧延し、切り出していきます。今回は細麺なのでパスタマシンの1.5mmの切り刃を使います。

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ということで、麺の完成です。

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本調理

それでは仕上げに入っていきます。

丼をあっためて、底に塩だれとホタテ油、刻みネギを入れます。

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この間にスープを加熱し、丼に注ぎます。

次に麺を茹でます。

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そして丼に麺を入れ、トッピングを盛り付けていけば...

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おしゃれ塩ラーメンの完成です!

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実食

それでは食べていきます。まずはスープから。

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澄んだ塩スープ

とてもうまい。非常にシンプルに鶏だけでとったスープでしたが、たれに魚介の風味を溶け込ませたおかげで全体として風味豊かに仕上がっています。粘度や油っぽさが少し過剰かなというところはありますが、それはもみじの量やスープの油を調整すればいいだけなので特に大きな問題ではないです。

次に麺。

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きれいな細麺

これもうまいですね。このスープにあわせる麺としてはセモリナ粉なくてもいいかなって感じもしますが、全体的にスープと調和のとれた麺を作ることができました。気持ちもうちょい細めでもよさそうかな。

そしてチャーシュー。

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はいうまいですね。もうちょっと薄切りにしたい気持ちもありますがこれはこれでOK。薄切りにする技術と包丁がほしい...

燻製感は薄いですね。もっとたっぷり燻製しないと。

最後に

ということで今回はおしゃれ極めた塩ラーメンを作りました。たれに比重をおくラーメンははじめてだったですがうまくいってよかったです。地味にあたりめがいい味だしてたので、たれにあたりめを入れるのは今後も続けていこうかなと思います。

おしゃれ極めた塩ラーメンを作りたい(前編)

あっさり系ラーメンを作ってみたい

このブログを開始してからかれこれ7ヶ月。いままで作ったラーメンのラインナップを眺めてみると、こってり系が非常に多い。たしかにこってり系ラーメンは好きなんですが、経験としてあっさり系も作ってみたいなと思いました。

そんなとき、あっさり系ラーメンでぱっと思い浮かぶのが恵比寿にあるAFURIというお店。

afuri.com

個人的に世界一うまいと思っているラーメンです。これを再現してもいいのですが、今回は再現ではなく、こんな感じのおしゃれな塩ラーメンを自分なりに考えて作ってみることにしました。

あっさり系とこってり系の大きな違い

あっさり系ラーメンとこってり系ラーメンは、もちろんスープの濃度とかしょっぱさとか、食感や見た目の違いはありますが、味作りの考え方を構造的にみてみると、たれ、スープへの味の比重の置き方が非常に対照的です。

こってり系ラーメンは、スープの濃度が非常に濃いため、風味としてわれわれはスープのほうを強く感じやすく、そのぶんたれはそこまで凝ったレシピではないことが多い。(二郎や家系ラーメンでは醤油だれの作り方が非常にシンプル)

一方であっさり系ラーメンは、スープが(味としては)淡白なことが多く、たれで全体の味を決めることが多くなります。そのため、たれ作りに多くの食材や複雑な工程を経るレシピが多くなっています。

今まで自作したラーメンもこってり系が多かったので、たれは非常にシンプルなレシピで作成していました。しかし、今回はあっさり系ラーメンなので、スープは鶏ガラと野菜のみでシンプルに仕上げる一方、たれはいろんな食材を使用し、複雑なうまみを演出したいと思います。

たれ作り

それでは味の中心になるたれを作っていきます。

水に昆布、あたりめ、干し貝柱をひたして一晩おき、だしをとります。

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一晩たったらこれを加熱。沸騰する前に昆布を取り出しておきます。 

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沸騰してから厚削り節も加え、しばらく煮詰めます。これで塩だれのベースになる魚介だしが完成しました。

ここに塩を加えていくのですが、今回は3種類の塩を用意しました。

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左から岩塩、あら塩、藻塩

岩塩はキリっとした塩っけで動物系の食材とマッチします。一方で藻塩は風味豊かで、真ん中の塩とあわせて海水由来なので海の食材とマッチします。複数の塩を混ぜることによってより深みのある味を目指しました。

これをさきほどのだしに入れてよくなじんだら、塩だれの完成です。

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完成した塩だれ

スープ作り

今回はあっさり系ラーメンということもあり、スープは非常にシンプルに鶏ガラ、もみじのみで仕上げました。

f:id:seKi:20191117140714j:plain鍋に血抜きした鶏ガラ、もみじを入れ、下ゆでしたあとに鶏皮、しょうが、にんにくなどを加えて煮込んでいきます。ほんとうは鶏皮を煮込んで鶏油がうまく抽出できたらと思ったんですがそんなにうまくいかなかったのでたぶん焼いたほうがよかったですね。

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鶏油はこんなもんしかとれなかった

あとは2時間ほど煮て、好みの濃度まで煮詰めたらスープは完成です。

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完成したスープ

ホタテ油作り

今回は香味油としてホタテ油を作ってみたいと思います。

サラダ油と先ほどとった鶏油を熱し、そこに干しエビと干し貝柱を加えてじっくりと加熱していきます。

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これでホタテ油の完成です。

今回はここまで、次回は製麺、チャーシュー作りから本調理までいきたいと思います。

京都でラーメンを食べました

突然の京都旅行

先日ちょっとした用事があり京都に行ってきました。観測史上最大規模なんて謳われた超大型台風が関東に接近してきた翌日によく行ったなと思います。せっかくラーメン激戦区として知られる京都へ行ってきたので、京都でいろんなラーメンを食べてきました。2日間で3軒まわりました。

1軒目 - 綱取物語 (拉麺小路)

京都には駅ビルに拉麺小路という場所があり、全国各地の特色あるラーメン店がたくさん軒を連ねています。

www.kyoto-ramen-koji.com

その中の1軒、綱取物語へ行ってきました。

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特製にんにく味噌とチャーシュー丼

京都に来ていきなり札幌ラーメンです。しっかりとにんにくが効いた味噌ラーメンで、パンチがあるもののとても食べやすいラーメンです。チャーシュー丼は単品用サイズのものを注文しちゃったので腹が破れました。

tabelog.com

2軒目 - 新福菜館 本店

2日目の朝、宿泊したホテルを発っておばんざいを食べにいこうとしたのですが、どこも混んでいて食べれそうになかったのでラーメンを食べることにしました。

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ふだんは行列必至らしいが幸い並びなしで入れた

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ラーメン(撮影したときのカメラの設定がおかしかったので補正してます)

新福菜館といえばのまっくろいスープに雑然と乗ったチャーシュー。ただこのインパクト大の見た目とは裏腹に、スープはくどくなくとても飲みやすい。個人的にはチャーシューがとても好みで、薄く脂がしっかり乗ったタイプ。スープの塩加減とあいまってこれとライスを一緒に食べるのが最高でした。撮影にミスったのが悲しいですが、京都に行った際にはぜひスープの黒さを体験してみてください。

tabelog.com

ちなみに隣にも有名なラーメン店があります。今度はこっちにも行ってみたい。

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すごい行列だった

3軒目 - あらじん

3軒目は用事があった場所からも近い、京都のラーメン激戦区、一乗寺にあるお店です。

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メニュー

豚骨ラーメンがメニューの中心で、味噌、醤油とあります。今回は濃厚味噌豚骨ラーメンに九条ネギトッピング、あとライスを注文しました。

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濃厚味噌豚骨ラーメン九条ネギトッピングとライス大盛り

1日目に食べた味噌ラーメンとはだいぶテイストが異なり、味噌の甘さが引き立っています。塩っけが強いわけではなく、とても優しい味わいなので卓上の味変アイテムを少しずつ加えながら味の変化をより楽しむことができます。個人的に豆板醤がおすすめ。

tabelog.com

一乗寺は他にもラーメン店が多いので、今度京都にいったときには他のお店もまわってみたいです。

最後に

京都はラーメン激戦区とよく言われる通り、多種多様なラーメン屋さんが軒を連ねています。今回は2日間の滞在だったためそこまで数を訪れることはできませんでしたが、まだまだ行きたいお店が多いのでがんばって京都に用事を作りたい...。

(天一の本店とか京都二郎とか行きたい)

幻の名店KINGKONGのトロフルつけ麺を再現したい(後編)

この記事は、幻の名店KINGKONGのトロフルつけ麺を再現したい(前編)の続きになります。前編をご覧になってない方はそちらから読んでいただくとより楽しめると思います。

 

ramencolumn.hatenablog.jp

 

チャーシュー作り

前回スープ、たれ、フルーツ酢作りまで行いました。後編ではチャーシュー作りから行います。

チャーシューはスーパーにちょうどいい焼肉用のカルビがあったのでそれを利用しました。水に塩、スパイス、レモン汁を加えて煮込んでいきます。

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しばらく置いて味をなじませたらチャーシューの完成です。

製麺

それでは製麺にとりかかります。KINGKONGでは、パスタで使用されるセモリナ粉が使用されているようで、今回はそれにならって作ってみたいと思います。

強力粉(春よ恋)、セモリナ粉にかん水、塩をとかした水を加え、水回しをしたあとひとまとめにして寝かせます。加水率は40%くらいだったと思います、たぶん。

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そしたらこれを小野式製麺機を使って伸ばしていきます。

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今回は小野式製麺機の刃で切っていきます。いかにもつけ麺用みたいな太麺を目指します。

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これで麺の完成です。

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本調理

それでは全ての準備が完了したので本調理に入ります。

まずチャーシューを炙ります。

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つけ汁はたれとスープを混ぜ合わせ、加熱しておきます。

その間に麺を茹でます。

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麺が茹で上がったら冷水で洗って締めます。そして盛りつければ、、、

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トロフルつけ麺の完成です!

実食

それでは実際に食べていきましょう。まずは麺から。

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この麺、めちゃくちゃうまい。セモリナ粉をいれたおかげか、すごいもっちり感が生まれてつけ麺用の麺として最高の仕上がりになってる。今度から麺は全部セモリナ粉入れようって思うくらい気に入りました。

ではつけ汁につけて食べます。

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正直食べたのが昔すぎて鮮明に味を覚えているわけじゃないんですが、こんなフルーツ感強くなかった気がするんだよなぁ。まあでもこれはこれでおいしいんだけど、甘さよりも爽やかさを持つフルーツを選択できればもっといい感じになったような気もします。とろみに関しては十分です。

最後にチャーシュー。

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もちろんうまいんですが、スパイスで風味づけたチャーシューとこのつけ汁がマッチするかというとちょっと難しいかも。さっき書いたようにつけ汁に使うフルーツの種類の問題かなぁ。

味変アイテムとして用意したフルーツ酢を加えて味変を行ってみます。

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ふつうにお酢自体がこういう濃いつけ汁には合うのでいい感じに味変できます。とてもおいしい。

食べ終わったあとはスープ割りを即席で用意しました。削り節とレモングラスを煮出したものでつけ汁を割りました。

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最後に

今回は、入手した本を参考にKINGKONGを再現しました。ちゃんとしたレシピをもとにはしているのである程度近いところまではいけたんじゃないかなと思います。ただ、実際いろんなお店のレシピや作り方を見ると、普段の自分の作り方がいかに簡素だったのかというのを実感します。ちゃんと風味や複雑なうまみを意識するとけっこう煩雑な手順を踏まないと完成しないんだなと改めて感じました。

麺にセモリナ粉を入れるのは今後しばらくは試してみます。かなり気に入りました。

幻の名店KINGKONGのトロフルつけ麺を再現したい(前編)

思い出の味

みなさん思い出の味ってありますよね。ばあちゃんが作ってくれたべちゃべちゃの焼きそばとか、近所のアイスクリーム屋さんの黒蜜きなこアイスとか、180円ラーメンって呼んでた安いラーメン屋さんとか、いろいろあると思います。その中でもぼくがはじめてつけ麺に触れた思い出のお店があります。それがかつて池袋にあったKINGKONGというお店。

高校生のときに友達に連れられて食べたのですが、それまでつけ麺の存在は知っていても、スーパーで売られている袋麺やコンビニのチルドコーナーに陳列されてるものしか経験がなかった当時のぼくにとって、初めてちゃんとしたつけ麺を経験したのがこのお店です。

そんな池袋KINGKONGの看板メニューが「トロフルつけ麺」というもの。ベースはシンプルな豚骨ではあるものの、そこにフルーツを混ぜ合わせたつけ汁はほのかな甘さと香り、さらに濃厚さがプラスされ、さらに卓上のフルーツ酢を加えることでより爽やかな味わいを楽しむことができます。

こんなものを入手した

ところでなんで唐突にKINGKONGのことを思い出したかというと、実は最近こんな本を買いました。

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この本の中に実はKINGKONGのつけ汁の作り方が書いてありまして、これは作るしかないということで、前置きはこの辺にしてKINGKONGのつけ麺を再現してみたいと思います。前半ではスープ作り、たれ作りまで。後半では製麺から本調理まで進めたいと思います。

スープ作り

それでは早速スープ作りから。動物系と魚介系の2つのスープを作り、あとで混ぜます。

動物系のスープはゲンコツと鶏ガラ、もみじを使用します。まずゲンコツを下ゆでし、きれいに洗ったあと圧力鍋で15分ほど煮ていきます。

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その後水に浸けて血抜き、下処理をした鶏ガラともみじ(鶏の足)を加えて煮込んでいきます。本来はもみじではなく豚足を加えるみたいなんですが、どちらもスープに粘度をつけるために使用するものなのでもみじで代用しています。

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 こんななるまで煮てください。白濁させたいので火加減は強火です。

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これと並行して魚介系スープも作ります。こちらはすごく簡単で煮干しをひたすら煮出します。

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魚介系スープはそこまでいらないので、このくらいの量がとれればOKです。

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これで2種類のスープが用意できたので、動物系スープのほうにこの魚介系スープを入れていきます。

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そしたら料理酒、野菜、昆布を加えてさらに煮ていきます。

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30分ほど煮たら、ここでフルーツを加えます。加えるフルーツは季節によって違ったそうなのでおそらくこれといった正解はないと思います。なので食べたいフルーツをスーパーで買ってきましょう。

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 これをミキサーにかけ、スープに加えます。

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さらにここにホワイトソースの素を加えてコクを出します。

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いい感じにとろとろになってくれました。これでつけ汁の完成です。

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たれ作り

つけ麺のたれを作ります。本には醤油だれのレシピは載っていないのですが、KINGKONGは大勝軒系列ということで、大勝軒の醤油だれを参考に作ってみたいと思います。

醤油、みりん、砂糖を混ぜ合わせたものに生姜スライス、ねぎの頭を入れて煮立てていきます。

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ある程度粘度が出るまで煮詰めたら完成です。すごくシンプル。

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フルーツ酢作り

味変アイテムとして、実際にKINGKONGの卓上に置いてあったフルーツ酢を作りたいと思います。

どんなフルーツを漬けてあったかさすがに覚えていないので好きなフルーツを入れました。

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あとは冷蔵庫に入れてしばらくたてばフルーツの香りがお酢に移って、フルーティーお酢が完成します。

今回はここまで。次回はチャーシュー作りから製麺、本調理までを行います。